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設立趣意書

特定非営利活動法人 聖地のこどもを支える会
設 立 趣 旨 書
2003年7月21日

1.イスラエル・パレスチナではすでに半世紀以上にわたって、戦争や紛争、占領政策や自爆攻撃が相次ぎ、数えきれないほどの犠牲者が出ている。何度も和平実現への希望が生まれては暴力行為によって挫折するという歴史を繰り返してきた。一つひとつの命が犠牲になるたびに、計り知れないほどの悲しみと苦しみ、憎悪と恐怖が増幅され、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教という平和を説く三大宗教の聖地で自爆攻撃と報復による流血の惨事があとを絶たない。2000年9月に始まったインティファダではすでに双方で子どもも含めて3000人以上が犠牲になり、数万人が負傷した。
新たな和平プラン、いわゆる「ロードマップ」により、かすかな希望も見えてきたが、事態はまだ流動的で予断をゆるさない。

2.長期間にわたるイスラエルの占領政策、また頻繁に繰り返される外出禁止令により、さらにパレスチナ自治政府の脆弱さのゆえに、現在パレスチナ経済はほとんど崩壊し、失業率はガザ地区やヨルダン川西岸地区では50~70%に達している。道路、水道、電気などのライフラインは破壊されたままである。復興の道は平坦ではない。
中でも憂慮されるのは教育の荒廃である。学校閉鎖や、校舎の破壊、教員の給料未払などで、公立学校(イスラム教育)が十分に機能しておらず、生徒の学力低下が大きな問題となっている。
そのような状態の中で、私立のキリスト教学校ではある程度規則的に授業が続けられ、また宗教、人種を問わず、しっかりとした人格教育をしているので、現地では大変評価されている。しかし私立学校は公的補助金を全く受けることが出来ず、当然、学校の維持費や教員・職員の人件費のために授業料収入を必要とするが、親の失業その他の理由で、授業料を払えない貧しい子どもたちは学校へ通うことが出来ない。つまり私立学校はある意味で存亡の危機に立たされているのである。
さらに毎日死と隣り合わせに生活し、砲声や銃声におびえる子どもたちの精神的ダメージは計り知れず、精神的外傷ストレスや、夜尿症に悩まされる子どもが激増し、また将来の「夢」として、家族や親戚の報復のために「自爆」を志願するという子どもが多くいるという。彼らには明るい未来の展望は全く見えないからだ。

3.このように泥沼化した紛争を解決し、中東に平和を実現するためには、真の正義と自由と相互愛に基づく社会を建設するための人材を育成することが重要であろう。
今現地では希望の灯をともし続けるために、この地の未来を担う子どもたちを何とかして学校へ通わせようという気運が高まっている。若者たちが将来、互いの多様性を認め、平和の働き手として連帯するためには、平和教育を受けることこそ、最重要課題だからである。
この目的のために、日本において、広く一般市民を対象として、募金事業、イスラエル及びパレスチナに関する情報収集と調査に基づくセミナー、報告会等の啓発事業を行い、また青少年の国際交流事業等によって中東に対する理解と友好を深める必要がある。

4.教育こそが未来の平和を築く基礎となり土台となるという確信から、数名のボランティアにより1990年聖地の貧しい子どもたちを支援するための募金活動が始まった。以来エルサレムにおけるローマ教皇大使館付属「聖地におけるカトリック学校・学院のための連帯事務局」を通じ、毎年数百万円の支援金を送ってきた。しかし2000年9月から始まった新しいインティファダにより、ますます支援の必要が叫ばれるようになり、本会は2001年11月新しい体制で再発足した。

5.本会としては、今後も中東地域の真の平和を目指し、現在まで積み上げてきた実績をもとに、情報収集事業、広報啓発事業、教育支援事業を通じ、宗教、人種を問わず、聖地の貧しい子どもたちの教育支援活動を続けて行く。
さらに新しい取り組みとして、現地の教育者に来日を要請、講演会を開催したり、イスラエル・パレスチナ双方の青少年を日本に招待し、日本の青少年との相互理解のため、交流親睦の機会を作ることにしている。

6.私たちは和平の可能性を信じ、人々の善意に支えられて、今まで任意団体として活動を続けてきたが、このたび、特定非営利活動法人として法人格を取得することが望ましいと考えるようになった。それは、聖地の子どもたちのますます増大するニーズに応えて、本会の活動をさらに充実させる必要があること、そのためには、公に認知された団体となって一般の人々のさらなる信頼を得、広報啓発活動を発展させることが肝要だからである。
特定非営利活動法人としての本会の活動をとおして、平和のために寄与したいという多くの人々の思いを現実化し、日本の善意の人々とともに中東和平実現の一端を微力ながら担うことを心から望んでいる。

(2010年4月21日 10:39)